初優勝グイッ!

セレスピード熊本

2008年05月22日 12:29





 
琴欧洲、初優勝グイッ 大相撲夏場所<11日目>


 初優勝を目指す大関琴欧洲(25)=佐渡ケ嶽部屋=が横綱朝青龍(27)=高砂部屋=を力強く寄り切り、初日から11連勝で単独トップを守った。朝青龍は2敗目を喫し、優勝争いから後退した。前日初黒星の横綱白鵬(23)=宮城野部屋=は大関千代大海を寄り切り、1敗を堅持。千代大海は負け越した。平幕の豊ノ島は9勝目をマークした。全勝の琴欧洲を追う1敗は白鵬ただ1人で、朝青龍と豊ノ島が2敗で続く。十両は光龍が1敗で単独首位を守った。

 大きな壁だった朝青龍を倒し、琴欧洲の初優勝がぐっと近づいてきた。1回目は立ち合い待った。「もう一回、落ち着いて立とう、と考えていた」という。こんな大一番でも落ち着いているのは琴欧洲が成長した証しだ。2回目の立ち合い。左上手をさっと引き、すぐ出し投げ。次は取った左前みつを引きつけ、202センチ、155キロの大柄な大関がグイグイ寄って出た。会心の内容だ。

 満面笑み。3年ぶりの“琴欧洲スマイル”。大関に上がった2年半前は横綱に一番近い男と言われた。それが、白鵬に抜かれ、兄弟子の琴光喜にも並ばれた。部屋の中でも存在感が薄れた。しかし、下半身の強化が琴欧洲を別人のように変えた。「だから場所前にしっかりけいこができた。それが良かった」

 琴欧洲の願いは優勝すること。4人いる大関の中で美酒経験がないのは琴欧洲だけ。「肩身が狭い。やはり気持ちで他の人に臆(おく)してしまう」と漏らした。今場所は大関に昇進して15場所目だが、過去最高が10勝(2回)。この日で無傷の11連勝となり、その壁をやっと乗り越えた。

 この琴欧洲の快進撃を喜んでいるのは、06年初場所からCM契約を結んでいる明治乳業の広告代理店関係者。「琴欧洲関には化粧まわしなどを贈っています。苦節2年半、長かったですが報われそう」とほおを崩す。この日も千葉県松戸市の佐渡ケ嶽部屋の冷蔵庫にブルガリアヨーグルト、牛乳などを差し入れてきた

 12日目の相手は対戦成績が5勝11敗と苦戦している白鵬。この難敵を撃破できれば初優勝の賜杯がほぼ手中にできる。もっとも琴欧洲は「何も考えない。明日は明日」と素っ気なかったが、支度部屋では、視線を合わさなかった。静かな中にも尋常でない闘志をうかがわせていた。 (近藤昭和)

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