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2008年07月08日

パソコン並みの携帯電話

パソコン並みの携帯電話



北米で進化したブラックベリー、日本上陸の意味【コラム】


 「ブラックベリー」といえば、米国でベストセラーの法人メール端末として日本でも知られている。携帯メールが広く普及する前から企業モバイル網の要(かなめ)として伸びてきた。そのブラックベリーがNTTドコモを通じてこの秋、日本に上陸した。これまで個人の携帯で企業メールをやりとりしてきた日本では米国型の法人メールシステムは定着しないと言われてきたが、はたしてブラックベリーは日本で成功するのだろうか。(小池良次の米国IT事情)


■ブラックベリーのビジネスモデル



電話機能が搭載されるブラックベリーが増えている〔AP Photo〕


 カナダRIM(リサーチ・イン・モーション)社のブラックベリーを筆頭とする企業メールサービスは、米国の大手企業で広く普及している。人気の秘密は高いセキュリティー機能にある。企業改革法など、企業の情報システムに対する監視が強まる米国では、企業情報を個人情報と厳密に区別する。個人のパソコンを企業ネットワークにつなぐことを禁止するのは当たり前で、仕事で使うメールを個人の携帯電話で送受信することも好ましくない。ブラックベリーはこうした米国企業のニーズを満たす形で普及してきた。


 ブラックベリー・メールは、企業のメールサーバーにRIM社の専用サーバーをつなぎ、メールを暗号化して、携帯電話会社のデータ網を経由して端末に転送する仕組み。企業メールを個人の端末に転送させないし、取引先や顧客と直接、メールのやりとりもできない。また、パソコンのようにメールを見に行く必要はなく、受信するとすぐにシグナルや振動で知らせるのは、携帯電話と同様だ。しかも、端末をなくした場合に遠隔でデータを消去(ワイプアップ)する機能のほか、各国の政府機関が利用する暗号システムやセキュリティー基準に準拠するモジュールも用意されている。





 企業によって千差万別のメールソフトにあわせて、様々なインターフェースをもっていることや欧州など米国以外でも利用できる点も強みとなってきた。このほか、低消費電力で長時間充電なしで利用できること、メールに特化することでナローバンドでもストレスなく動く点も、ブラックベリーが伸びてきた理由だ。RIM社はこうした強みを武器に安定して成長し、契約者数は全世界で500万を超えている。







 しかし、契約者の約半数を占める米国ではここ数年、企業メール市場に変化が生じている。まず数年前に、メール端末と携帯電話の統合という変化が押し寄せた。その結果ブラックベリーは現在、通話機能を乗せたモデルが増えている。映像やファイル共有などマルチメディアサービスに対する需要も広がっている。そのため「安価・軽量・メール専用端末」というブラックベリーのビジネスモデルも大きく変わろうとしている。


■次々と参入する競合相手




 携帯との融合やマルチメディアコンテンツへの需要が高まるなか、様々なベンダーが法人メール市場に参入している。たとえば、マイクロソフトは「ウィンドウズ・モバイル5.0」でパーム社やモトローラ社と提携し、パームの人気端末「トレオ」や、モトローラの「Q」で法人市場への参入を狙っている。これらの端末は、企業で広く普及しているマイクロソフトのワードやエクセル、パワーポイントなどとシームレスにつながることが特徴。ブラックベリーの「ウィンドウズに弱い」点を狙う戦略だ。


 一方、RIM社のサービスは低価格であることも強みだった。ブラックベリー端末は機能がシンプルなため、トレオなどマルチメディア型端末の約半額で販売されている。しかし、携帯最大手のノキアはブラックベリーより安い「E61」を投入して、価格の面から競争を挑もうとしている。





 また、メールサーバー分野でも競合する企業が増えている。法人メールシステムで業界2位のグッド・テクノロジー社は、ブラックベリーが特許紛争に巻き込まれた間隙を縫って顧客を増やしている。加えて、携帯大手のノキアはIntellisync社を買収し、モバイルメール分野の強化を狙っている。マイクロソフトが準備している「エクスチェンジサーバー2007」などもRIM社の強敵となりそうだ。


 さらに、サイベース社はモバイル網アプリの「iAnywhere」を投入。新興のDataViz社もウィンドウズ環境に対応した「Roadsync」で注目を集めている。


■キャリア主導の日本上陸は成功するか


 このようにマルチメディア対応、メールサーバー、低価格端末など、RIM社を取りまく環境は厳しさを増している。これまでRIM社は、端末価格の上昇やネットワーク費用、機能開発の難しさなどからマルチメディア対応に消極的だったが、ここに来て戦略を変えようとしている。


 同社は、マルチメディア対応端末の強化を打ち出したほか、これまで手を出さなかったSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)や一般消費者向けのサービスにも関心を示している。


 しかし、すべての戦略を変えたわけでもない。ブラックベリーを利用する多くの法人は、端末のオープン化を望んでいる。しかしRIM社のサービスはあくまで同社のブラックベリー端末を基本としており、トレオなど他社製端末への対応は限定されている。


 その理由は簡単で、メールサービスを提供しているRIM社は、その売り上げの大部分を端末の販売に依存しているためだ。端末の他社製品への開放は、同社の「アキレス腱」ともいえる。



RIMのマイク・ラザリディス社長(左)とドコモの星沢秀郎常務=9月25日、日本向け製品発表会見で


 では、日本でブラックベリーはどのような戦略を展開するだろうか? まず、既にブラックベリーを導入している外資系企業は、同サービスに高い関心を示している。もちろん、NTTドコモもこうしたニッチ市場は意識しており、高い端末価格でサービス開始を狙っている。日本企業におけるセキュリティー意識はまだ米国ほど高くなく、市場はそれほど大きくないと見ているからだろう。


 こうした外資企業に特化した市場はすぐに飽和するだろう。問題はその後で、国内一般企業への法人営業をどこまで強化するかに注目したい。ブラックベリーが弱かったマルチメディア機能をRIM・NTTドコモが強化するかも重要な着目点だ。米国と違い、今回のブラックベリー上陸は携帯最大手のNTTドコモが主導権を握っているだけに、様々な可能性が期待される。しかし一方で逆に柔軟な市場開拓ができないと否定的に見る専門家もいる。


 とはいえ、ブラックベリーの登場は、日本の法人メール市場に大きな影響を与えるかもしれない。アジアの通信市場が高付加価値サービスを好むことは米国にも知られており、ブラックベリーに続いてマイクロソフトやモトローラなど、競争相手が日本市場への参入を狙っているからだ。もちろん、日本の端末ベンダーもこうした動きに追従する可能性もある。






◇◇◇


 米国では、携帯電話を使ったトランシーバー機能「プッシュ・ツー・トーク(P2T)」が法人サービスとして広く普及している。しかし、携帯先進国の日本ではこうした法人サービスになかなか力を入れてこなかった。それだけにブラックベリーの日本上陸は、日本の法人市場に大きな波紋を呼ぶかもしれない。



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Posted by セレスピード熊本 at 10:33│Comments(0)【科学・文明】
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