2008年05月29日
開運商法の被害続出

「運気が下がっている」などとウソを言って相談者を不安に陥れ、高額な祈願料を支払わせる「開運商法」の被害が後を絶たない。
占い師やスピリチュアル・カウンセラーの人気ぶりが警戒心を薄くさせる原因とも指摘されているが、鑑定士はどのようにして相談者を追い込んでいくのか--。相談者との密室でのやり取りを追った。(吉田尚大)
ホテルの客室で70歳代の女性が「長男の仕事のことで……」と切り出すと、ぜい竹を操っていた女性鑑定士は「息子さんの運気が下がり、命が衰退しています」と告げた。2005年に神奈川県内のホテルで開かれた鑑定会。高島易断総本部などと名乗って開運商法をしたとして、経済産業省が3月、業務停止命令を出した宗教法人「幸運乃光」が開いたものだった。
「どうしたら運気は上がりますか」と女性が身を乗り出すと、鑑定士は1年分の祈願料として約100万円を請求した。「そんなに払えません」と驚くと、「特別におまけしましょう」と73万円に“値引き”。女性は翌日、預金口座から引き出して言われた金額を渡したが、「子どもを案じる親の気持ちにつけ込まれたのかも」と唇をかんだ。
女性は翌年、別の団体の鑑定会にも足を運ぶ。今度は羽織はかま姿の男性鑑定士から「運気が下がっている」と断言され、50万円を支払った。この鑑定士は、取材に「果物や魚を供えた祈願を毎朝夕に行うとそれぐらいの費用はかかる」と、祈願料名目で金をだまし取ったことを否定した。
全国の消費生活センターに寄せられた開運商法絡みの相談件数は03年度は1890件だったが、07年度は2928件に増えた。
高島易断総本部の元鑑定士は「90年ごろに入門すると、まず実例集を暗記させられた」と証言する。実例集は新書ほどの厚さで、鑑定会に出るのは暗記テストに合格してから。実例集には、相談者が女性の場合、「水子の霊がついている」と脅し、「覚えがない」と否定されると「では、ついているのはあなたのお母さんの水子だ」と切り返すよう記されていた。祈願料にしても、相談者の経済力を推し量りながら金額を決めているという。
「占いとはこんなものだろう」と思って続けていたが、相談者が不安にさいなまれる様子を見て疑問に感じるようになり退職。
「30人の鑑定士が10日間で10億円以上も稼いだこともある。『カネのため』と割り切ってやっている人も多いのでは」と振り返る。
実例集は経産省の立ち入り検査でも見つかっているが、幸運乃光では「占いの結果に関係なく『運気が落ちている』と言わせることはない」と釈明する。
霊感商法の被害者救済に取り組んできた渡辺博弁護士は「開運商法をしているのは心を操る方法を熟知したプロ。用心しているつもりでもだまされてしまう」と警戒を呼びかけている。
Posted by セレスピード熊本 at 11:13│Comments(0)
│【政治・経済】
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心と生き方を磨く名言
心と生き方を磨く名言 【心と生き方を磨く名言 】at 2008年05月30日 04:46
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